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ワクチン補助剤QS-21、6生物の酵素38種を移して酵母で完全生合成

チリのキラヤの樹皮に頼っていたサポニン系ワクチン補助剤QS-21を、遺伝子改変した酵母で最初から最後まで作り出した。

掲載誌
Nature
論文発表
執筆
NBS編集部
ワクチン補助剤QS-21、6生物の酵素38種を移して酵母で完全生合成

米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)とジョイント・バイオエナジー研究所(Joint BioEnergy Institute)などの研究チームが、サポニン(saponin)系のワクチン免疫増強剤(アジュバント)QS-21を、酵母で完全に生合成することに成功した。QS-21は、ヒトへの使用が承認されている唯一のサポニン系補助剤だが、チリのキラヤ(Chilean soapbark tree)の樹皮からの抽出や、収率の低い化学合成に頼ってきたため、供給が限られてきた。

7つの酵素群、外来酵素38種をバランスよく発現

研究チームは、6つの生物から持ってきた外来酵素38種を酵母に導入し、宿主固有の代謝の流れを微調整した。経路には、テルペン合成酵素、シトクロムP450、ヌクレオチド糖合成酵素、糖転移酵素、CoAリガーゼ、アシル基転移酵素、ポリケタイド合成酵素(polyketide synthase)など、7つの酵素群が動員された。植物細胞で小胞体膜と細胞質に分かれて起こる反応の区画も、酵母の中で模倣した。一部の酵素が複数の基質を受け入れる性質を利用して、QS-21の構造類似体も作った。

このプラットフォームは、構造活性相関(structure-activity relationship)の研究により、より強力な補助剤を設計するのに使える。ただしカリフォルニア大学バークレー校の発表によると、培養液1リットルあたりの生産量は約100マイクログラムの水準であり、実際の供給源になるには収率の改善が必要である。

Fig. 1: Complete biosynthesis of QS-21 in engineered yeast
Fig. 1 Liu Y et al., Nature · CC BY
この記事のポイント
  • 6つの生物に由来する外来酵素38種、7つの酵素群を酵母の1株に組み立て
  • 植物の小胞体―細胞質の反応区画を酵母で再現
  • 酵素の基質の柔軟性を利用して、QS-21の構造類似体も生産

研究の限界 生産量が培養液1リットルあたりマイクログラムの水準で、産業的な供給までには収率の向上が先決課題である。

原著論文

  1. Liu Y, et al. · University of California, Berkeley. Complete biosynthesis of QS-21 in engineered yeast. Nature. DOI: 10.1038/s41586-024-07345-9

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