臨床・新薬
CRISPR編集細胞治療exa-cel、鎌状赤血球症の97%で疼痛発作が消失
患者の造血幹細胞を遺伝子ハサミで編集して胎児ヘモグロビンをよみがえらせる治療が、第3相試験で血管閉塞発作をほぼなくした。

鎌状赤血球症(sickle cell disease)は、異常なヘモグロビンのせいで赤血球が鎌状に変形し、血管を詰まらせて激しい痛みの発作を起こす遺伝性疾患である。米サラ・キャノン研究所のハイダー・フランゴール(Haydar Frangoul)博士らは、CRISPR-Cas9遺伝子編集細胞治療薬エキサガムグロゲン・オートテムセル(exa-cel)の第3相試験の結果を、NEJMに報告した。患者自身のCD34+造血幹細胞を取り出し、BCL11A遺伝子の赤血球特異的エンハンサー(enhancer)を編集すると、成長とともにオフになっていた胎児ヘモグロビンの産生が再びオンになる。
単群オープンラベル第3相試験、44人に投与
対象は、直近2年間に毎年2回以上の重度の血管閉塞発作を経験した12〜35歳の患者だった。編集した細胞を戻す前に、ブスルファン(busulfan)で骨髄を空にする前処置を行った。主要評価項目は、12か月以上連続して重度の血管閉塞発作がない割合だった。44人が投与を受け(追跡の中央値19.3か月)、全員で好中球・血小板が生着した。評価可能な30人のうち29人(97%)が主要評価項目を満たし、30人全員がこの発作で入院しなかった。
安全性のパターンは、骨髄破壊を伴うブスルファンの前処置と自家造血幹細胞移植で予想される範囲内で、がんの発生はなかった。
意義と限界
ウイルスベクターを使わず、遺伝子編集だけで疾患の症状を長期間抑えられることを示した結果である。ただし、対照群のない単群の研究でサンプルが小さく、高用量の抗がん剤による前処置の負担、高額な費用、数十年単位の長期安全性が課題として残る。開発元のVertexとCRISPR Therapeuticsが研究に参加した。
- 主要評価項目(12か月連続で重度の血管閉塞発作なし)を満たした人は29/30人(97%)
- 12〜35歳の44人を対象とした単群オープンラベル第3相試験で、ブスルファンによる骨髄破壊の前処置後に投与
- 安全性はブスルファンの前処置・自家移植と一致、がんの発生なし
研究の限界 対照群のない小規模な単群研究であり、長期安全性や前処置の毒性・費用の問題は追加の評価が必要である。
原著論文
- Frangoul H, et al. · Sarah Cannon Research Institute (TriStar Centennial Children's Hospital). Exagamglogene Autotemcel for Severe Sickle Cell Disease. The New England Journal of Medicine. DOI: 10.1056/NEJMoa2309676
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