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薬用植物パンノキから新規ゲラニルカルコン8種を単離、うち1種は脳虚血モデルで保護活性

暨南大学の研究チームがArtocarpus communisから新規のオリゴマーを見つけ、生合成模倣合成で7種を7〜9段階でつくった。

掲載誌
Angewandte Chemie International Edition
論文発表
執筆
NBS編集部
薬用植物パンノキから新規ゲラニルカルコン8種を単離、うち1種は脳虚血モデルで保護活性

中国・暨南大学(Jinan University)薬学部の研究チームが、熱帯の薬用植物パンノキ(Artocarpus communis)から、新規のゲラニルカルコン(geranylated chalcone)系化合物8種を単離し、このうち、複雑な環構造をもつオリゴマー2種に、アルトカルプソン(artocarpusone)A・Bという名前を付けた。論文はAngewandte Chemie International Editionに掲載された。

構造解明から「生合成模倣合成」まで

アルトカルプソンA・Bは、6/5/6/5/6の環が縮環した五環式ヘミケタール(hemiketal)構造をもつ。研究チームは、分光分析と計算化学を組み合わせて、絶対立体配置を決定した。特に、化合物1〜7がすべて単一の前駆体(化合物8)に由来するという生合成の仮説を立て、酸化的転位・マイケル付加・ヘミケタール化・電子環状反応・ヘテロディールス・アルダー反応へと続く連鎖反応を設計し、前駆体から7〜9段階で1〜7を合成した。植物から微量しか得られない化合物を、実験室で再現可能にしたことになる。

生物活性の評価では、化合物2(アルトカルプソンB)が、虚血性脳卒中モデルの細胞実験と動物実験の双方で活性を示し、神経保護の候補物質に挙げられた。具体的な効力の数値や、動物の種・個体数は、公開された抄録には示されていない。

細胞・動物レベルの初期の結果であるため、ヒトでの効果や安全性を語るのは時期尚早である。植物抽出物を摂取することと、精製された単一化合物の実験結果は別であることにも留意が必要である。

この記事のポイント
  • Artocarpus communisから新規ゲラニルカルコン8種を単離、アルトカルプソンA・Bは6/5/6/5/6の五環式ヘミケタール骨格
  • 単一前駆体の仮説に基づく生合成模倣合成で、7種を7〜9段階で確保
  • アルトカルプソンBが、虚血性脳卒中の細胞・動物モデルで活性

研究の限界 細胞・動物モデルの初期の結果であり、ヒトでの有効性・安全性は確認されておらず、効力の数値は公開された抄録にない。

原著論文

  1. Huang RL, Zhang S, Chen BH, Pan Y, et al. · College of Pharmacy, Jinan University. Discovery and Bioinspired Synthesis of Neuroprotective Geranylated Chalcones From Artocarpus communis. Angewandte Chemie International Edition. DOI: 10.1002/anie.2810612

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