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海洋シアノバクテリアから新規マクロリド「カナレソライドA」、眠り病の原虫を1時間以内に死滅
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、Okeania sp.から新規マクロリドを見いだして立体構造を解明し、トリパノソーマに対するナノモルレベルの活性を確認した。

米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校(UC San Diego)スクリプス海洋研究所と寄生虫病研究センターの共同研究チームが、海洋シアノバクテリアのオケアニア(Okeania sp.)から、新規のポリヒドロキシマクロリド(polyhydroxy macrolide)化合物であるカナレソライドA(canalesolide A)を発見した。アフリカ睡眠病(眠り病)の原因となるブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)に対し、低い濃度で強い活性を示した。論文はJournal of the American Chemical Societyに掲載された。
活性の追跡と分子ネットワーキングを組み合わせ
研究チームは、原虫を対象とした表現型スクリーニングとLC-MS/MSに基づく分子ネットワーキング(molecular networking)を併用して、活性画分を素早く絞り込み、既知の化合物群を除外した。構造決定には、超高分解能NMR、ポリオール構造の経験的配置解析、モデル化合物の合成、化学的分解と誘導体化を総動員した。大環状構造の全体を一度に解析するだけでは解けなかった立体化学をこうして解決しており、酸素が密に結合した海洋マクロリド全般に適用できるアプローチであるというのが、研究チームの説明である。ゲノム解析により、推定される生合成遺伝子クラスターも示された。
カナレソライドAは、ヒト感染型のT. bruceiの亜種に対して数ナノモルレベルの活性を示し、1マイクロモルの濃度で1時間以内に原虫を死滅させた。既知のバスティモライド(bastimolide)系列と関連はあるものの、構造の配置は明確に異なる。
哺乳類細胞に対する毒性は中程度に観察され、感染マウスの予備実験では、効果と毒性の間の治療域が狭いという結果だった。研究チーム自身が選択性の改善が必要だと明記しており、ヒトへの応用までは道のりが遠い。

- 海洋シアノバクテリアOkeania sp.から新規のポリヒドロキシマクロリドを発見、NMR・モデル合成・化学的分解により立体構造を完全に解明
- ヒト感染型のT. bruceiに対し低ナノモルレベルの活性、1 µMで1時間以内に原虫を死滅
- 表現型スクリーニングと分子ネットワーキングのワークフロー、および推定生合成遺伝子クラスターを提示
研究の限界 哺乳類細胞への毒性が観察され、感染マウスの予備実験で治療域が狭かったため、選択性の改善が先決となる。
原著論文
- Teixeira TR, Ryu B, Cox R, Deering M, et al. · Scripps Institution of Oceanography / Skaggs School of Pharmacy, University of California San Diego. Canalesolide A, a Structurally Unique Polyhydroxy Macrolide from the Marine Cyanobacterium Okeania sp. with Potent Antitrypanosomal Activity. Journal of the American Chemical Society. DOI: 10.1021/jacs.6c11673
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