天然物・植物素材
海洋放線菌のゲノムのパターン探索から、新規抗生物質「インダノピロールA」を発見
海から分離したストレプトミセスMAR4系統のゲノムを調べて、ハロゲンのついた新しい系統の広域抗生物質を見つけた。

米国のスクリップス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography, UC San Diego)の研究チームが、海洋由来の放線菌から、新しい抗生天然物のインダノピロールA(indanopyrrole A)とBを見つけ出した。ストレプトミセス(Streptomyces)属は、陸上の土壌から臨床用の抗生物質や抗がん物質を数多く生み出してきた微生物だが、海から分離された菌株の生合成のポテンシャルは、比較的調べられてこなかった。
MAR4の20のゲノムにある「持ち主のいない」遺伝子群と結びつけた
研究チームは、主に海洋から分離されるMAR4系統のストレプトミセスに、パターンベースのゲノムマイニング(pattern-based genome mining)を適用した。その結果、ハロゲン原子のついたピロロケトインダン(pyrroloketoindane)系の天然物を初めて確認し、これをMAR4の20のゲノムにある機能不明の生合成遺伝子群(biosynthetic gene cluster, BGC)と、バイオインフォマティクスによって結びつけた。インダノピロールAは、臨床的に重要な病原菌に対して、強力な広域の抗菌活性を示した。
類似の化合物であるインダノマイシン(indanomycin)の遺伝子群と比較して、この系統の最後の環化と分子の放出の段階についても、新たな手がかりを得た。公開データベースの探索では、この遺伝子群が稀であることが確認されたため、同じ系統の化合物をさらに見つけられる余地があるというのが、研究チームの判断である。ただし、抗菌活性は実験室段階の結果であり、感染動物モデルやヒトでの有効性・安全性は確認されていない。

- ハロゲン化ピロロケトインダン系の天然物を初めて発見(インダノピロールA・B)
- MAR4の20のゲノムにある機能不明の生合成遺伝子群と結びつけた
- 臨床の病原菌に対する広域の抗菌活性、環化機構の手がかりも確保
研究の限界 実験室での抗菌試験の段階の結果であり、感染モデルでの有効性と毒性は、さらなる検証が必要である。
原著論文
- Sweeney D, et al. · Scripps Institution of Oceanography, UC San Diego. Pattern-Based Genome Mining Guides Discovery of the Antibiotic Indanopyrrole A from a Marine Streptomycete. Journal of Natural Products. DOI: 10.1021/acs.jnatprod.4c00934
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