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1回の注射でCRISPR編集、遺伝性血管性浮腫の発作が87%減少 第3相試験

体内で肝細胞の遺伝子を直接編集する治療薬ロンボグラン・ジクルメラン(lonvo-z)が、第3相試験で月平均の発作回数をプラセボと比べて87%低下させた。80人を2:1で無作為に割り付けた結果がNEJMに掲載された。

掲載誌
The New England Journal of Medicine
論文発表
執筆
NBS編集部
1回の注射でCRISPR編集、遺伝性血管性浮腫の発作が87%減少 第3相試験

遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema、HAE)は、C1阻害因子(C1 inhibitor)の欠乏により、顔・四肢・気道などが繰り返し腫れる希少遺伝性疾患である。気道が腫れると命に関わることがあるため、患者は予防薬を定期的に注射しなければならなかった。The New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたHAELO第3相試験は、この治療のあり方を変える可能性を示した。

肝細胞の遺伝子を体内で編集

ロンボグラン・ジクルメラン(lonvoguran ziclumeran、lonvo-z)は、CRISPR-Cas9の編集ツールを静脈内に投与し、肝細胞の標的遺伝子を不活性化する生体内(in vivo)編集治療薬である。腫れを引き起こす物質の産生を上流で遮断する方式で、米国のインテリア・セラピューティクスが開発中である。

二重盲検試験では、C1阻害因子の欠乏がある16歳以上の患者80人が2:1で割り付けられ、52人はlonvo-z 50mgを、28人はプラセボを、1回だけ静脈内に注入された。主要評価項目は、注入後5週から28週まで、研究者が確認した月平均の発作回数だった。結果は、lonvo-z群で月0.26回、プラセボ群で月2.10回となり、相対的に87%減少した(95%信頼区間−93〜−78%、P<0.001)。2026年2月時点の追跡期間の中央値は7.5か月だった。有害事象はlonvo-z群の92%、プラセボ群の86%で報告され、lonvo-z群でより多かったのは、注入関連反応、頭痛、疲労、腰痛、上気道感染だった。重篤な有害事象やグレード3以上の有害事象は、lonvo-z群ではなかった。

意義と限界

生体内CRISPR編集が、無作為化対照の第3相試験で有効性を示した、まれな事例である。ただし、追跡期間が1年未満と短く、効果の持続性と長期的な安全性(特にオフターゲット編集)は、引き続き見守る必要がある。遺伝子編集は元に戻せない点、80人という規模、製薬会社が資金を提供した試験である点も考慮しなければならない。まだ承認前の臨床段階の薬剤である。

この記事のポイント
  • 第3相二重盲検、80人を2:1で無作為に割り付け、静脈内に1回のみ注入
  • 月平均の発作0.26回対プラセボ2.10回、相対的に87%減少(P<0.001)
  • lonvo-z群で重篤・グレード3以上の有害事象なし、追跡期間の中央値7.5か月

研究の限界 追跡期間が1年未満で、長期的な持続性・安全性は確認されていない。不可逆的な遺伝子編集であり、製薬会社が資金を提供した試験である。承認前の臨床段階の薬剤であり、治療効果を断定することはできない。

原著論文

  1. Cohn DM, Gurugama P, Longhurst HJ, … Banerji A; HAELO Investigators · Amsterdam University Medical Centers(オランダ)ほか多国、資金提供:Intellia Therapeutics. Lonvoguran Ziclumeran — In Vivo CRISPR Gene Editing in Hereditary Angioedema. The New England Journal of Medicine. DOI: 10.1056/NEJMoa2600931

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