生命科学フロンティア
筋肉が骨になる希少疾患FOP、抗体で新規病変19個→1個 第3相試験
アクチビンAを阻害する抗体ガレトスマブが、成人FOP患者63人を対象とした第3相試験で、56週間に新たに生じる異所性骨病変の数をプラセボと比べて90%以上減らした。Lancetに掲載された。

進行性骨化性線維異形成症(fibrodysplasia ossificans progressiva、FOP)は、靱帯・腱・筋肉が徐々に骨へ変わり、関節が固まって寿命が短くなる超希少遺伝性疾患である。アクチビン受容体1A(ACVR1)遺伝子の変異のため、本来この受容体を抑えていたアクチビンA(activin A)が逆に受容体を活性化し、本来骨のない場所に骨をつくる。この疾患でアクチビンAを捕捉するモノクローナル抗体ガレトスマブ(garetosmab)の第3相試験の結果が、The Lancetに発表された。
16か国18施設、63人を無作為に割り付け
OPTIMA試験は二重盲検プラセボ対照の第3相試験で、18歳以上のFOP患者63人を、プラセボ(21人)、ガレトスマブ3mg/kg(19人)、10mg/kg(23人)に1:1:1で割り付け、毎月静脈内投与した。平均年齢は26.6歳で、60%が女性だった。主要有効性評価項目は、56週時点で新たに生じた異所性骨化(heterotopic ossification)病変の総数だった。
56週間で、プラセボ群では新規病変が19個生じたのに対し、3mg/kg群では1個(発生率比0.06、p=0.027)、10mg/kg群では2個(発生率比0.10、p=0.026)にとどまった。安全性の主要評価項目である特に注目すべき有害事象は、プラセボ群1人(5%)、3mg/kg群0人、10mg/kg群4人(17%)だった。死亡はなかった。開発元のリジェネロンが資金を提供した。
意義と限界
超希少疾患で、無作為化対照の第3相試験により進行抑制効果を示したことは異例である。ただし、63人・56週間では、長期的な効果と安全性を判断するには短い。高用量群で特に注目すべき有害事象が多かった点は、引き続き追跡が必要である。対象が成人のみであるため、病変が主に生じる小児・青年に適用できるかは別の研究が必要であり、規制当局の承認前の段階である。
- 第3相OPTIMA:16か国18施設、成人FOP患者63人を1:1:1で割り付け、56週間毎月静脈内投与
- 新規異所性骨病変はプラセボ19個、3mg/kg群1個・10mg/kg群2個(発生率比0.06・0.10)
- 特に注目すべき有害事象はプラセボ5%・低用量0%・高用量17%、死亡なし
研究の限界 63人・56週間の小規模・短期試験であり、長期的な効果と安全性は確認されていない。成人のみを対象とし、製薬会社が資金を提供した試験である。承認前の段階であり、治療効果を断定することはできない。
原著論文
- Papa R, Rhee S, Delai P, … Yancopoulos GD, Keen R; OPTIMA Study Group · IRCCS Istituto Giannina Gaslini, Genova(イタリア)ほか16か国、資金提供:Regeneron. Efficacy and safety of garetosmab, an activin A-blocking antibody, in fibrodysplasia ossificans progressiva (OPTIMA): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. The Lancet. DOI: 10.1016/S0140-6736(26)01599-0
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