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重さ1gのワイヤレス顕微鏡、自由に行動するマウスの脳細胞8500個を同時撮影

清華大学の研究チームが、重さ1.0g、視野6mmのワイヤレス小型顕微鏡「エアスコープ」を開発し、ケーブルなしで走り泳ぐマウスの大脳皮質の活動を、数千個の細胞単位で記録した。

掲載誌
Nature
論文発表
執筆
NBS編集部
重さ1gのワイヤレス顕微鏡、自由に行動するマウスの脳細胞8500個を同時撮影

生きた動物の脳を観察するには、通常、頭に小型顕微鏡を載せてケーブルでつなぐ。このケーブルが動物の動きを制限し、従来の装置は視野が狭く、一度に見られる神経細胞の数も少なかった。中国・清華大学の戴瓊海(Qionghai Dai)教授のチームは、この限界を大きく押し広げたワイヤレス・メゾスコープ(mesoscope)「エアスコープ(Airscope)」をNatureで報告した。

非球面レンズで長さを縮め、無線で伝送

エアスコープは、重さ1.0g、横方向の解像度4μm、視野の直径6mm、毎秒12.5フレームの性能を持つ。非球面レンズの設計により光路を従来の小型顕微鏡より2.84倍短くしながら、実験台に固定する単光子メゾスコープと同程度の数の神経細胞を捉えた。専用の無線伝送装置により、マウス1匹あたり8500個を超える神経細胞のカルシウムシグナルをケーブルなしで記録したが、研究チームはこれを従来比25倍の増加と説明している。

研究チームは、部屋ほどの広さの遊び場、水泳課題、複数匹の同時撮影などで装置を試験した。2匹が競争する場面では、背側大脳皮質の複数領域の活動パターンが社会的順位と関連し、集団の活動から競争の結果をあらかじめ予測できた。迷路探索中には、報酬の位置と結びついた皮質活動が現れ、脳と脊髄を同時に記録して、恐怖条件づけの間の脊髄から皮質へ向かう信号の流れ(グレンジャー因果性)も解析した。

意義と限界

自然に行動する動物で、皮質全体を細胞解像度で記録することは、システム神経科学の長年の課題だった。今回の装置は、そうした実験を比較的容易にする可能性がある。ただし、マウスを対象としたツール開発研究であり、単光子カルシウムイメージングの特性上、深い層の神経細胞は観察しにくく、時間分解能も電気生理記録に及ばない。行動と脳活動の相関関係が、そのまま因果関係を意味するわけではない。

この記事のポイント
  • 重さ1.0g、視野6mm、解像度4μmのワイヤレス小型メゾスコープを開発
  • マウス1匹あたり8500個以上の神経細胞をケーブルなしで同時記録
  • 社会的競争・迷路探索・恐怖条件づけなど、自然な行動中の皮質活動を解析

研究の限界 マウスを対象としたツール開発研究である。単光子イメージングの特性上、深い層の細胞の観察と時間分解能に限界がある。

原著論文

  1. Zhang Y, Li A, Yuan L, Wang M, Zhao W, … Dai Q · IDG/McGovern Institute for Brain Research, Tsinghua University(中国)ほか. Cortex-wide imaging in naturally behaving mice with 1-gram wireless mesoscopes. Nature. DOI: 10.1038/s41586-026-11293-x

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