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46万7千人のゲノムから構造変異160万個の地図、健康との関連2万8千件

アストラゼネカのゲノム研究センターが、UKバイオバンクの参加者467,152人の全ゲノムを解析し、50塩基以上の大きなゲノム再編成(構造変異)と1万8千余りの形質との関連を一括して調べた。従来の方法では82%が見えなかった変異である。

掲載誌
Cell
論文発表
執筆
NBS編集部
46万7千人のゲノムから構造変異160万個の地図、健康との関連2万8千件

ゲノム研究は長い間、塩基1つが置き換わる変異に集中してきた。50塩基対を超える塊が失われたり、重複したり、反転したりする構造変異(structural variant、SV)は、影響が大きいことがあるにもかかわらず、見つけにくいために十分に扱われてこなかった。英国アストラゼネカのゲノム研究センターのスラヴェ・ペトロフスキ(Slavé Petrovski)氏のチームは、Cellにこの空白を大規模に埋める研究を発表した。

表現型全体を調べるPheWAS

研究チームは、UKバイオバンクの参加者467,152人の全ゲノムから構造変異160万個を見つけたうえで、13,322種類の疾患の有無の形質、2,018種類の数値形質、2,923種類の血漿タンパク質濃度との関連を調べる、表現型網羅的関連解析(phenome-wide association study、PheWAS)を行った。見つかった構造変異の82.25%は、従来のコピー数変異(copy-number variant)研究では検出できない範囲にあったものだった。

タンパク質のレベルでは、構造変異3,467個が1,690種のタンパク質の血中濃度と結びつき、効果は変異の種類と位置によって異なった。健康上の結果との関連は計28,184件が検出され、まれではあるが表現型への効果が大きい構造変異もあった。また、従来のゲノムワイド関連解析(GWAS)で知られている位置では、関連する構造変異の32.21%が機能的なゲノム領域と重なっており、一部のGWASシグナルの真の原因が構造変異である可能性を示唆した。

意義と限界

今回の地図は、構造変異がヒトの形質や疾患に寄与する度合いがこれまで過小評価されてきたことを示しており、創薬標的探索の資源となりうる。ただし、UKバイオバンクは欧州系の中高年が大多数であるため、ほかの集団にそのまま当てはめることは難しく、関連解析は因果関係を証明するものではない。著者の多くが製薬会社に所属している点にも留意が必要である。

この記事のポイント
  • 467,152人の全ゲノムから構造変異160万個を確認、82.25%は従来の検出範囲外
  • 構造変異3,467個が血漿タンパク質1,690種の濃度と関連
  • 健康上の結果との関連28,184件を検出、GWAS位置の関連SVの32.21%が機能領域と重なる

研究の限界 欧州系中心のコホートにおける関連解析であり、因果関係を証明するものではなく、ほかの集団への一般化には限界がある。著者の多くがアストラゼネカに所属している。

原著論文

  1. Atanur SS, Hu F, Lou H, … Burren OS, Petrovski S · Centre for Genomics Research, AstraZeneca, Cambridge(英国)ほか. A phenome-wide structural variant map from 467,152 UK Biobank genomes. Cell. DOI: 10.1016/j.cell.2026.09.035

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