天然物・植物素材
土壌の粘液細菌、ゲノムを新たに154個解読 未探索の生合成遺伝子クラスター2,387個を確認
ドイツのHIPSの研究チームが、粘液細菌の分類を28科・90属に広げ、生合成遺伝子クラスターのアトラスABC-Myxoを公開した。

ドイツのヘルムホルツ・ザールランド医薬研究所(Helmholtz Institute for Pharmaceutical Research Saarland、HIPS)とザールラント大学の研究チームが、数十年にわたり土壌から集めてきた粘液細菌(myxobacteria、粘液細菌門 Myxococcota)の分類体系を描き直し、天然物の生合成能力をゲノムレベルで整理した。Advanced Scienceの論文によると、新たなゲノム154個が加わり、科(family)は11から28に、属(genus)は32から90に増えた。プレスリリースでは、新しい菌株は118種と紹介された。
放線菌に劣らない生合成の多様性
抗生物質の伝統的な宝庫である放線菌(Actinomycetota)と同じ規模で比較すると、粘液細菌の生合成遺伝子クラスター(biosynthetic gene cluster)の多様性は引けを取らなかった。未同定の遺伝子クラスターのファミリーは2,387個に達し、その一部をゲノムマイニング(genome mining)で追跡して、ミクソルタミド(myxolutamid)、ミクソペンタシン(myxopentacin)など、新しい構造の化合物4種を確認した。プレスリリースは、抗真菌・抗ウイルス・抗菌活性、シデロフォア、トポイソメラーゼ阻害剤まで、5系統の新しい化合物クラス(ミクソクオーテリン、サンダクラビン、サンダラゾール、ソランジバクチン、ピキシディサイクリン)も紹介した。
ミクソルタミドAやソランギシン(sorangicin)誘導体のように、特定の系統の中で保存される化合物が多く、正確な分類がそのまま標的探索の地図になるというのが、研究チームの主張である。生合成遺伝子クラスターのウェブアトラス「ABC-Myxo」は無料で公開され、菌株はドイツのDSMZに保存される。
今回の結果はゲノム解析と構造の確認が中心で、化合物ごとの有効性・毒性の数値や動物実験は含まれていない。プレスリリースと抄録とで、菌株・化合物の数の表記が一部異なる。
- Myxococcotaの新規ゲノム154個、分類体系を28科・90属に拡張
- 未同定の生合成遺伝子クラスターのファミリー2,387個、ゲノムマイニングで新規構造の化合物4種を検証
- 生合成遺伝子クラスターのウェブアトラスABC-Myxoを無料公開、菌株はDSMZに保存
研究の限界 ゲノムと構造を中心とした研究で、化合物ごとの有効性・毒性の数値や動物実験はなく、プレスリリースと抄録とで数値の表記が一部異なる。
原著論文
- Agrawal AA, Garcia R, Chen G, Bader CD, et al.; Müller R (corresponding) · Helmholtz Institute for Pharmaceutical Research Saarland (HIPS). Biodiversity as the Basis for New Drugs (論文: Unveiling the Taxonomic Diversity and Unprecedented Biosynthetic Treasure of the Phylum Myxococcota). Advanced Science. DOI: 10.1002/advs.76919
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