食品・栄養・規制
乳酸菌4種でヒヨコ豆粉を発酵 アレルゲン性の緩和と抗酸化能の上昇を確認
イタリア・パルマ大学の研究チームが、ヒヨコ豆の生地を乳酸菌4種でそれぞれ発酵させ、物性・タンパク質構造・揮発成分・アレルゲン性・抗酸化能を併せて評価した。すべての菌株が生地の構造を改善し、アレルゲン性は「中程度」低下した。

動物性原料の代替として使われるヒヨコ豆粉の弱点である風味とアレルゲン性を、発酵で補えるかを多角的に検証した研究が、Food Chemistryに公開された。パルマ大学食品・薬学科の研究チームは、ヒヨコ豆の生地を、Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis、Lactiplantibacillus plantarum、Lacticaseibacillus casei、Leuconostoc spp.の4種の乳酸菌(lactic acid bacteria、LAB)でそれぞれ発酵させた。
評価項目は、レオロジー挙動、保水力(water-holding capacity)、タンパク質構造、揮発性化合物の組成、アレルゲン性、抗酸化能、(ポリ)フェノールプロファイル、バイオプリザベーション(biopreservation)効果など、食品素材の開発に必要な指標を幅広く網羅した。その結果、4菌株すべてが生地の構造を強化したが、変化のあり方は菌株ごとに異なった。タンパク質含有量は維持された一方、アレルゲン性は中程度に低下し、総フェノール含有量と抗酸化能は上昇した。揮発成分とフェノール組成は菌株に依存して変化し、腐敗抑制効果も観察された。
意義
植物性タンパク質素材の発酵加工は、消化性や風味の改善を目的に研究されてきたが、この研究は、菌株の選択が物性・機能性・保存性にそれぞれ異なる痕跡を残すことを、一つの実験系の中で示した。菌株ごとの特性を組み合わせ、目的に合った発酵素材を設計するための基礎資料となりうる。
ただし、実験室規模の研究であり、アレルゲン性の低下は体外評価に基づく。実際のアレルギー患者における安全性や、摂取後の健康効果を示したものではなく、産業規模の工程や保存中の変化は別途検証が必要である。
- 乳酸菌4種でそれぞれ発酵し、物性・タンパク質・揮発成分・アレルゲン性・抗酸化能を同時に評価
- すべての菌株で生地の構造が強化、アレルゲン性は中程度に低下、フェノール・抗酸化能は上昇
- 揮発成分・フェノールの変化は菌株依存的で、バイオプリザベーション効果も観察
研究の限界 実験室規模の体外研究である。アレルゲン性の低下は体外評価の結果であり、ヒトでの安全性や健康効果を示したものではない。
原著論文
- Alinovi M, Prandi B, Cirlini M, Agulló V, et al. · University of Parma(イタリア). Exploring the functionality of chickpea flour fermented by lactic acid bacteria: a multidisciplinary approach for ingredient development. Food Chemistry. DOI: 10.1016/j.foodchem.2026.151557
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