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白血病薬ホモハリントニンの骨格は根の先端でつくられる 酵素6種を解明
絶滅危惧種のイヌガヤ属の植物から得られてきた抗白血病薬の、中核骨格の生合成経路をほぼ完成させた。

米国のスタンフォード大学(Stanford University)のエリザベス・サトリー(Elizabeth Sattely)の研究チームが、抗白血病薬ホモハリントニン(homoharringtonine、HHT)の中核骨格であるセファロタキシン(cephalotaxine、CET)の生合成経路を、ほぼ全体にわたって解明した。HHTは、タンパク質の翻訳を阻害する植物由来の物質で、米国FDAが慢性骨髄性白血病の治療薬として承認しており、リボソームプロファイリングの研究ツールとしても広く使われている。しかし、商業生産は、絶滅危惧種であるイヌガヤ属(Cephalotaxus)の植物から抽出したCETを半合成する方式に依存している。
中間体7種・酵素6種、根の先端で骨格を形成
研究チームは、安定同位体で標識した前駆体を与えたのち、非標的メタボローム解析とトランスクリプトーム解析を組み合わせて、経路を追跡した。その結果、CETは伸びている根の先端でのみ合成されるが、CETとHHTは植物全体に蓄積されることを確認した。経路の中間体7種と酵素6種が見つかり、シトクロムP450、非典型的な短鎖脱水素酵素(short-chain dehydrogenase)、2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ(2-oxoglutarate-dependent dioxygenase)などが、炭素を切り離して5つの環の骨格をつくり、CETの直接の前駆体とみられるセファロタキシノン(cephalotaxinone)を生成した。
研究チームは、根の先端でつくられたセファロタキシノンが植物のあちこちに運ばれてHHTに仕上げられるという、植物全体の協働モデルを提案した。ただし、CETとHHTへとつながる最後の段階の酵素は今回の研究では確定しておらず、異種の宿主での生産は次の課題である。
- 安定同位体の追跡とメタボローム・トランスクリプトーム解析で、中間体7種・酵素6種を解明
- CETの骨格は伸びている根の先端でのみ合成、CET・HHTは植物全体に蓄積
- CETの直前の前駆体セファロタキシノンまで経路をつなぎ、植物全体の協働モデルを提案
研究の限界 セファロタキシノン以降のCET・HHTへの最終段階と、異種宿主での生産は検証されていない。
原著論文
- Dho Y, et al. · Stanford University. Cephalotaxinone enzymes reveal a whole plant model for homoharringtonine biosynthesis. Nature Chemical Biology. DOI: 10.1038/s41589-026-02260-8
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