天然物・植物素材
海洋天然物チャゴセンジンC、銅による細胞死を誘導して大腸がんを抑制 マウス実験
海洋由来のアルカロイドがFDX1タンパク質を標的にしてクプロトーシスを起こし、オキサリプラチンの耐性も乗り越えた。

中国の上海中医薬大学(Shanghai University of Traditional Chinese Medicine)と中国科学院上海薬物研究所(Shanghai Institute of Materia Medica)などの研究チームが、海洋天然物のチャゴセンジンC(chagosendine C、CHC)が、大腸がん細胞を、銅に依存した細胞死、すなわちクプロトーシス(cuproptosis)で死滅させると報告した。クプロトーシスは、細胞内に銅イオンが過剰に蓄積することで起こる細胞死で、再発と薬剤耐性が問題となる大腸がんで、新たな攻略の標的として注目されている。
細胞内の銅・活性酸素を増やしてG1期で停止
研究チームは、金属配位二量体構造のCHCと類似のアルカロイドを、素早く合成・精製して、薬理試験に用いた。大腸がんの細胞株HCT116とRKOで、CHCは増殖を顕著に抑え、細胞周期をG1期で止め、オキサリプラチン(oxaliplatin)の耐性も克服した。マウスモデルでは、体重1kgあたり40mgの投与で腫瘍の増殖を抑え、明確な毒性は観察されなかった。機序の分析で、CHCは、FDX1(ferredoxin 1)タンパク質を標的にして、細胞内の銅イオンと活性酸素種(ROS)を増やした。
天然物の骨格で、クプロトーシスを誘導する抗がん剤の候補を示したという意義がある。ただし、細胞株とマウスの実験の段階の結果であり、ヒトでの有効性・安全性と臨床応用の可能性は検証されていない。

- 海洋天然物CHCが、FDX1を標的に銅依存性の細胞死を誘導
- 大腸がんの細胞株2種で、増殖抑制・G1期停止、オキサリプラチンの耐性を克服
- マウスモデルで40mg/kgの投与により腫瘍の増殖を抑制、明確な毒性なし
研究の限界 細胞・動物の研究結果であり、ヒトを対象とした臨床の根拠はない。
原著論文
- Tao X, et al. · Shanghai University of Traditional Chinese Medicine. Marine Natural Product Chagosendine C Induces Cuproptosis in Colorectal Cancer Cells by Targeting FDX1. Journal of the American Chemical Society. DOI: 10.1021/jacs.5c07917
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