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低用量の抗生物質で細菌の「眠っている遺伝子」を目覚めさせ、新たな天然物9種を発見

高濃度では細菌を抑える抗生物質を低い濃度で用いて、隠れた二次代謝産物の産生を引き出す探索法である。

掲載誌
Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
論文発表
執筆
NBS編集部
低用量の抗生物質で細菌の「眠っている遺伝子」を目覚めさせ、新たな天然物9種を発見

米国のプリンストン大学(Princeton University)化学科の研究チームが、抗生物質のホルメシス(antibiotic hormesis)を利用して細菌の隠れた天然物を探す選別法を示した。微生物のゲノムには天然物の生合成遺伝子クラスターが多いが、大半は実験室の標準的な培養条件ではほとんど発現せず、いわゆる潜在的な(cryptic)代謝産物のままになっている。

臨床用抗生物質のライブラリーで細菌9種を刺激

ホルメシスは、高用量では増殖を抑える物質が、低用量では別の反応を刺激する現象である。研究チームは、入手できる臨床用の抗生物質をすべて集めて独自のライブラリーをつくり、系統的に多様な細菌9種で、高用量の増殖阻害試験と低用量の代謝産物の刺激試験をあわせて行った。その結果、試験したすべての菌株で、潜在的な代謝産物の産生が誘導された。このうち4つの菌株を大量に発酵させて代謝産物を分析したところ、すでに知られているがその菌株では初めて確認された物質8種と、構造が新しい天然物9種が見つかった。

方法が単純で規模を拡大しやすく、新薬候補の探索のプラットフォームとして使えるというのが、研究チームの説明である。低用量の抗生物質が、微生物の代謝を調節するシグナルとして一貫して働くという点は、生態学的な意味も示唆する。ただし、新たに見つかった化合物の薬理活性と治療の可能性は、さらなる検証が必要である。

この記事のポイント
  • 低用量の臨床用抗生物質で、細菌の潜在的な代謝産物の産生を誘導
  • 試験した細菌9種のすべてで、潜在的な代謝産物の誘導を確認
  • 4つの菌株の大量発酵で、構造が新しい天然物9種を発見

研究の限界 発見の方法論の研究であり、新規化合物の生物活性と治療の可能性は評価されていない。

原著論文

  1. An JS, et al. · Princeton University. Leveraging antibiotic hormesis for cryptic natural product discovery. Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS). DOI: 10.1073/pnas.2529841123

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