天然物・植物素材
漢方薬チリチャンシン、心不全の入院・心血管死を22%低減 3110人の臨床試験
標準治療を受ける駆出率低下型心不全患者で、チリチャンシン追加群の複合イベントのリスクがプラセボ群より低かった。

心不全に使われてきた漢方カプセル、チリチャンシン(Qiliqiangxin, QLQX)を標準治療に加えたところ、入院と心血管死が減ったという大規模無作為化臨床試験の結果が、Nature Medicineに掲載された。南京医科大学第一附属病院(江蘇省人民病院)が主導し、中国の133病院が参加したQUEST試験である。
中央値18.3か月、ハザード比0.78
対象は、左室駆出率が40%以下で、心不全の指標であるNT-proBNPが450pg/mL以上の駆出率低下型心不全(HFrEF)患者3110人である。参加者は従来の心不全治療を続けながら、チリチャンシンまたはプラセボを1回4カプセル、1日3回服用した。主要評価項目である心不全による入院・心血管死の複合イベントは、チリチャンシン群で25.02%、プラセボ群で30.03%に発生した(ハザード比0.78)。心不全による入院(15.63%対19.16%)と心血管死(13.31%対15.95%)も、それぞれチリチャンシン群で少なかった。
一方、全死亡は両群間で統計的に有意な差がなく(ハザード比0.84)、有害事象の発生は同程度だった。
参加者はすべて中国の患者であるため、他の集団にそのまま当てはめることは難しい。複数の生薬を配合した複合処方であり、作用成分を特定できず、著者の一部は関連企業との利害関係を開示している。抄録には臨床段階の記載がない。

この記事のポイント
- 133病院の多施設二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験、HFrEF患者3110人
- 心不全による入院・心血管死の複合イベント25.02%対30.03%(ハザード比0.78)
- 全死亡に有意な差はなく、有害事象は同程度
研究の限界 中国の患者のみが対象で、複合処方のため有効成分を特定できず、全死亡の減少は確認されていない。
原著論文
- Cheang I, et al. · The First Affiliated Hospital of Nanjing Medical University. The traditional Chinese medicine Qiliqiangxin in heart failure with reduced ejection fraction: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Nature Medicine. DOI: 10.1038/s41591-024-03169-2
原著論文の著作権は、各出版社および著者に帰属します。