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生命科学フロンティア

細胞3300万個で学習した単一細胞基盤モデルscGPTを公開

トロント大学の研究チームが、単一細胞トランスクリプトームを「文章」のように学習した基盤モデルで、細胞タイプの分類・摂動応答の予測を一度に処理した。

掲載誌
Nature Methods
論文発表
執筆
NBS編集部
細胞3300万個で学習した単一細胞基盤モデルscGPTを公開

単一細胞RNAシーケンシング(scRNA-seq)データは爆発的に蓄積されたが、実験のたびに解析ツールを選び直し、バッチ効果を別途補正しなければならなかった。カナダのトロント大学・ベクター研究所の研究チームは、ネイチャー・メソッズ(Nature Methods)に、言語モデルの方式を細胞データに移した基盤モデル(foundation model)scGPTを報告した。

「文章=細胞、単語=遺伝子」として事前学習

研究チームは、公開されている単一細胞データ3300万個の細胞で、生成型トランスフォーマーを事前学習した。文章が単語でできているように、細胞は遺伝子発現の組み合わせで定義されるという比喩を、そのまま設計に適用したものである。こうして得たモデルを転移学習(transfer learning)で微調整したところ、細胞タイプのアノテーション、複数バッチの統合、マルチオミクス統合、遺伝子摂動(perturbation)応答の予測、遺伝子制御ネットワークの推論など、異なる課題で使うことができた。

意義は、解析パイプラインの軸が「課題ごとの専用アルゴリズム」から「一度学習して複数の課題に付けるモデル」へ移ったことである。データが少ない組織・疾患でも、事前学習の知識を借りて使える。

限界

性能は、微調整に使うデータの品質と、事前学習データの組織・種の偏りに左右される。モデルが出力する制御ネットワークや摂動の予測は仮説であり、実験で確認する必要がある。

この記事のポイント
  • 細胞3300万個の公開データで事前学習した生成型トランスフォーマー基盤モデル
  • 細胞タイプのアノテーション・バッチ統合・マルチオミクス統合・摂動予測・制御網の推論に共通して適用
  • 課題ごとの専用ツールに代わり、事前学習モデルを微調整する方式へ転換

研究の限界 事前学習データの組織・集団の偏りが性能に反映され、モデルが出力したネットワーク・摂動の予測は、実験による検証が必要な仮説である。

原著論文

  1. Cui H, Wang C, Maan H, … Wang B · University of Toronto・Vector Institute(カナダ). scGPT: toward building a foundation model for single-cell multi-omics using generative AI. Nature Methods. DOI: 10.1038/s41592-024-02201-0

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