食品・栄養・規制
カリウム代替塩に替えると、血圧が正常な高齢者の高血圧の発生が40%減 低血圧の増加なし
中国の介護施設での無作為化臨床試験の事後解析で、代替塩を使った高齢者の高血圧の発生率は、通常の食塩の使用群の半分ほどの水準だった。

食塩(塩化ナトリウム)の一部を塩化カリウムに替えた代替塩(salt substitute)は、血圧が正常な人にも意味があるのか。この問いは、効果が小さい、あるいはかえって低血圧を招きかねないという懸念から、議論があった。中国の北京大学臨床研究所の研究チームは、介護施設の高齢者を対象としたDECIDE-Salt臨床試験のデータでこれを検討し、JACCに発表した。
方法
DECIDE-Saltは、中国の48の介護施設を単位として無作為に割り付け、2年間行われた大規模なクラスター無作為化臨床試験(cluster-randomized trial)である。研究チームは、このうち開始時点の血圧が正常だった高齢者611人を事後解析した。代替塩は、塩化ナトリウム62.5%、塩化カリウム25%、風味成分12.5%で構成されていた。
代替塩群(313人)の高血圧の発生率は、100人年あたり11.7件で、通常の食塩群(298人)の24.3件より低く、調整ハザード比は0.60だった。低血圧の発生は、9.0件対9.7件で差がなかった。通常の食塩群は収縮期血圧が平均7.0mmHg上がったが、代替塩群はほとんど変化がなく、両群の収縮期血圧の差は8.0mmHgだった。
ただし、もともと計画された主要解析ではなく事後解析であり、食事が管理されている中国の介護施設の高齢者に限った結果である。カリウムの排泄が低下している腎疾患の患者などは、高カリウム血症のリスクがあるため、一律に適用するには注意が必要である。
- 介護施設48か所のクラスター無作為化臨床試験、血圧が正常な高齢者611人を事後解析
- 高血圧の発生は100人年あたり11.7件対24.3件、ハザード比0.60
- 低血圧の増加なし、収縮期血圧の純粋な差は8.0mmHg
研究の限界 事後解析であり、中国の介護施設の高齢者に限られ、腎疾患の患者などはカリウム過剰のリスクを考慮する必要がある。
原著論文
- Zhang X, et al. · Peking University Clinical Research Institute. Effect of a Salt Substitute on Incidence of Hypertension and Hypotension Among Normotensive Adults. Journal of the American College of Cardiology. DOI: 10.1016/j.jacc.2023.12.013
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