生理活性とは――ポリフェノール・フラボノイドなど機能性成分研究の根拠の段階
生理活性・機能性
生理活性(bioactivity)とは、ある物質が酵素、細胞、組織、個体などの生物学的システムに及ぼす、測定可能な作用を指します。生理活性の研究は、その作用がどのような標的と経路を通じて起こるのか、どの用量で現れるのかを明らかにすることを目的としています。
根拠は段階的に積み上がります。試験管・細胞レベル(in vitro)の結果は仮説を立てる出発点であり、動物モデル(in vivo)とヒト試験を経て、根拠の水準が高まります。とくに天然物は、吸収・分布・代謝・排泄(ADME)の過程で構造が変わることが多く、実験室での活性がそのまま体内での効果につながるとはいえません。
主な研究テーマ
- 01作用機序と標的の解明
成分が結合するタンパク質標的とシグナル伝達経路の解明
- 02用量反応関係
有効な濃度・用量の範囲と、体内で到達しうる濃度との比較
- 03生物学的利用能と剤形
吸収率と代謝安定性、およびそれらを改善する剤形の研究
- 04腸内細菌との相互作用
腸内細菌による成分の代謝と、その生物学的意味
- 05ヒト試験の設計
無作為割付・対照群・盲検を備えた試験の設計と報告
- 06分析の干渉と再現性
検定法に干渉する化合物(PAINS)など、偽陽性の可能性の判別
方法論の概観
01酵素・細胞アッセイ
標的酵素の活性と細胞の反応を測定します。
02オミクス
トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボローム解析で経路をたどります。
03動物モデル
ARRIVEガイドラインに従って設計・報告します。
04ヒト試験
無作為割付対照試験は、CONSORTガイドラインに従って設計・報告します。
05根拠の統合
系統的レビュー・メタ解析(PRISMA)で根拠を整理します。
参考文献
- Atanasov AG, Zotchev SB, Dirsch VM, et al. Natural products in drug discovery: advances and opportunities. Nat Rev Drug Discov 2021;20:200–216.
- Baell JB, Holloway GA. New substructure filters for removal of pan assay interference compounds (PAINS) from screening libraries and for their exclusion in bioassays. J Med Chem 2010;53(7):2719–2740.
- Percie du Sert N, et al. The ARRIVE guidelines 2.0: Updated guidelines for reporting animal research. PLoS Biol 2020;18(7):e3000410.
- CONSORT (Consolidated Standards of Reporting Trials) Statement.
- Page MJ, McKenzie JE, Bossuyt PM, et al. The PRISMA 2020 statement: an updated guideline for reporting systematic reviews. BMJ 2021;372:n71.